【論文翻訳】DFにおける「ゾーンプレス」と「二重化」の可能性について

新しいDFのシステムについて書かれた論文を訳しました。

Pokrajac Branislavという、ポルトガルのハンドボールチームの監督をしていた元セルビア代表のハンドボール選手が、2016年のマスターコーチ会議でプレゼンしたものです。

資料がスライドしかないため限られた情報ですが、内容はわかるかと思います。また、ゾーンプレスも二重化も面白そうな内容です。ぜひ一度実戦で使ってみたいと思います。

(元記事→https://members.ehf.eu/community/activities/download.ashx?reason=ehfcanFile&id=2532

 

〜〜〜以下、論文翻訳〜〜〜〜


ハンドボールには3つのタイプのDFがあります。

  • ゾーンDF
  • マンツーマン(プレス)DF
  • それらを組み合わせたDF

試合の中では色々なゾーンDFがみられます(6:0、5:1、3:2:1など)。また、場合によっては組み合わせたDFもみられます(5+1など)。ただし、マンツーマン(プレス)DFはほとんどみられません。(選手の個人DF力を伸ばすための高度な練習をするときくらいです)。

バスケットボールではよく使用され有効であるのに、ハンドボールではほとんど使用されない、組み合わせ型のDFがあります。それが、ゾーンプレスです。

なぜ私たちはハンドボールでゾーンプレスを使用しないのでしょうか?私たちには、バスケットボール以上にそれを使うべき理由があります。

  • ハンドボールにはゴールキーパーエリアがありコートプレーヤーは中に入れないが、バスケットボールではコートを全て使える
  • ハンドボールでは5ファウル退場がないので、選手を減らすことなくもっと多くのファウルができる
  • バスケットボールではコートのどこからでもシュートを打つことができるが、ハンドボールでは6mから11~12mあたりの間からしかない

では、ハンドボールではどのようにゾーンプレスを行えばよいのでしょうか?

 

ゾーンプレスの仕組み

(以下、点線がボールの軌道で実戦が選手の軌道です)

  • シュートエリア(6~12m)でアグレッシブに守ります
  • 相手OF選手と向き合う位置取りをし続けるため、常にではなくとも「より強い」方を締めます。

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  • ボールが遠いときは距離を開け、ボールが近い(ないしマークしてる相手が持っている)ときは距離を詰めます。

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  • もしBPがポジティブチェンジをしてきたら、DFはスイッチ(チェンジ)します。

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  • もしBPが6m側へ入ってきたら、それをマークしてるDFがついていきます。BPが戻ったらDFも一緒に戻ります(その時点でコートのどこ側にいるかは全く気にしなくてよいです)。

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  • もしWPが6m側へ入ってきたら、2つの選択肢があります。a)背の高い選手がPVをマークし、b)もう1人がWPをマークします。WPが戻った場合は、そのままDFもついていきます。

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DFの「二重化」

「二重化」はDFシステムではなく、どのDFシステムでも使える戦術アイデアで、6:0で使うのが最も実用的です。

基本的な考え方としては、WPプレーヤーに3秒間パスさせないようにするものです。通常、PVのいる方と反対側で「二重化」を使用します。要所で突然使用するのがよく、常にその形で闘うものでありません。「二重化」の後にもしOF側が攻撃を継続してきた場合、通常のDFに戻します。

 

(以下、点線がボールの軌道で実戦が選手の軌道です)

  • DFが6:0でBPが攻めてこない場合*

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*LBがLWにパスを出すと同時に、右2枚目と右1枚目でLWをマークし、右3枚目がLB、左2枚目がCBへのパスをカットできる位置に待機、左1枚目はRBとRWどちらにパスが出てもカットできる位置に待機

 

  • DFが6:0でBPが攻めてくる場合*

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*LBが攻めてくるので右2枚目が対応のち、LWにパスが出ると同時に、右2枚目はパスに合わせてLW側へ移動、右1枚目とLWをマークする。右3枚目がLB、左2枚目がCBへのパスをカットできる位置に待機、左1枚目はRBとRWどちらにパスが出てもカットできる位置に待機

 

  • DFが5:1の場合*

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*LBが攻めてきたのを右2枚目が対応のち、LWにパスが出ると同時に、右2枚目はパスに合わせてLW側へ移動、右1枚目とLWをマークする。トップ DFがLB、左2枚目がCBへのパスをカットできる位置に待機、左1枚目はRBとRWどちらにパスが出てもカットできる位置に待機

 

  • DFが3:2:1の場合(5:1と同じになる)*

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*LBが攻めてきたのを右2枚目が対応のち、LWにパスが出ると同時に、右2枚目はパスに合わせてLW側へ移動、右1枚目とLWをマークする。トップ DFがLB、左2枚目がCBへのパスをカットできる位置に待機、左1枚目はRBとRWどちらにパスが出てもカットできる位置に待機